お知らせ

1学期を終えて

 

                                            釧路市立北中学校長 冨 田 直 樹

 

26日(金)に77日間の1学期が終わりました。この間、保護者や地域の皆様には、本校の各種教育活動に対して、御理解・御協力をいただきました。心から感謝を申し上げます。

この1学期、生徒たちは日常の授業はもとより、学校行事や部活動にも一生懸命に取り組み、多くの成長を見せてくれました。特に1学期の最大の学校行事である体育祭において、ねらいの一つである学級の「団結力」の醸成に、どの学級も真っ直ぐに取り組んでいました。例えば、長縄跳びにおいて、体力差を克服して、全員が長く跳び続けるにはどうしたらよいかを真剣に考え、独自の方法を導き出した学級がありました。2分間という時間、全員が跳び続けますが、どうしても誰かの足が縄に引っかかってしまう。そんなとき、「もう少し足を高く上げてみて、そして、みんなで声を出して気持ちを合わせよう」という声が聞こえてきます。どちらも学級の「団結力」が醸成されている場面だったように感じます。

学校は「学び」を通して生徒たちが成長していく場所です。この「学び」が成立するためには、生徒たちが各種取組のねらいを共有し、そのねらいを達成するための課題を見出し、それを克服する方策を自分たちで導き出し実践していくという過程を体験することが大切です。つまり、「マネジメント力」を身に付けていくということです。そして、もう一つ大切なことは、「学ぶ場の環境づくり」だと思います。失敗したら非難される、何か突拍子のない発言をしたらバカにされる、そんな雰囲気がその場を支配していたら、学びたいと思っても、学べないはずです。しかし、その逆だったらどうでしょう。「この学級ではどんな発言をしてもみんなが認めてくれる」、「失敗してもみんなが励ましてくれて、常に前を見ることができる」、つまり、「心理的安全性」の高い場を創っていくことです。学校における「学び」とは何かに気付き、それを体現していく生徒たちは、これからも成長していくのだと思います。

27日(土)から夏季休業が始まります。30日間という昨年度よりも5日間も長い夏季休業になります。「危険な暑さ」という言葉を頻繁に耳にするようになりました。冷涼な気候の釧路市も例外ではないと思います。熱中症などを防止するため健康面に注意するとともに、規則正しい生活習慣の確立に努めてほしいと思います。また、SNSを介した心無い言葉のやり取りで、他者を傷付け、自分も傷付く、そんな事例も散見されています。SNSを活用するに当たっての責任と自覚の醸成も必要です。これらのことについては、保護者の皆様が第一線に立ち、生徒たちの生活を支援していただきますようお願いします。

最後に、保護者の皆様には引き続き御支援と御協力をお願いいたします。2学期も生徒たちが更に成長できるよう、教職員一同全力を尽くしてまいります。どうぞよろしくお願いいたします。

 

学校が信頼されるために

学校が信頼されるために

 

                                            釧路市立北中学校長 冨 田 直 樹

 

本日、58名の1学年の生徒が本校に入学しました。全校生徒188名、全教職員25名で令和6年度釧路市立北中学校としての教育活動が始まりました。

昨年度は、「『生徒を育てる学校』から『生徒が育つ学校』へ」という学校経営理念の下、「生徒が主語になる学校」とはどんな学校なのか、保護者や地域の皆さんのお力添えをいただきながら生徒、教職員で模索してきました。その結果、「生徒が主語になる学校」とは、「生徒が学び、学び合う学校」であることが分かりました。そして、教職員が学び、学び合ってこそ、そのことが実現できることを実感しました。このことから、今年度の学校経営理念を「生徒も、教職員も、一人一人が主語になる学校」としたところです。私たち教職員は、生徒の主体的な学びを支援する伴走者としての能力を備え、生徒の学びを導き、促し、支え、励ますことが求められています。そのために、「自立した学習者」となるべく日々、研鑽に努めたい、そんなことを全教職員で共通理解して今年度が始まりました。

さて、生徒の学びを導き、促し、支え、励ますために、今年度もいくつか新しいことに挑戦していきたいと考えています。その一つが「総合的な学習の時間」です。キャリア教育を柱にして、自分たちは将来の釧路の街づくりについて何ができるのかを探究する学びを推進していきます。この学びは、年間50単位時間を費やして行う壮大な内容となっていて、学校の守備範囲に収まるものではなく、地域の力を借りなければ目標の達成はできません。昨年度末から、本学習の内容を御理解いただき御協力していただけないか、各種の企業等の経営者や責任者の皆さんと話し合いを重ねているところです。

多くの皆さんから了解の御回答をいただいていますが、その中で、「北中生のためなら喜んで協力するよ」というお言葉をたくさんいただいています。その言葉の根っこのところに「北中を信頼しているから」という思いを感じることができます。とてもありがたいことです。しかし、その一方で、校長として「これでいいのか」という思いを常に抱いています。皆さんの北中に対する信頼は、これまでの実績や実践に対する信頼だと思います。これからも北中を信頼していただくにはどうしたらよいのか、このことを今年度は強く意識して具体の戦略に基づきながら各種の取組を進めていく必要があると考えています。

その中の一つは、やはり「授業改善」です。生徒は元来「学びたい意欲の塊」であり、その知的好奇心に火をつけられるよう、私たち教職員がともに伴走するような学びを提供します。つまり、生徒たち一人一人が自らの興味・関心に基づき、自らに適した進度で学びを進める中で、教師は適切なサポートやサジェスチョン(示唆)を行います。「むちを振り振りチイパッパ」の「雀の学校」から「誰が生徒か先生か」の「めだかの学校」へとシフトしていくことが大切だと考えます。

保護者、地域の皆さんから信頼してもらえる学校になるべく、各種の教育活動を推進してまいります。今年度も本校の学校づくりに是非参画していただきますようお願いいたします。

 

1年間の学校づくりを振り返って

1年間の学校づくりを振り返って

 

                                                                                 釧路市立北中学校長 冨 田 直 樹

 

本日、修了式が行われ、令和5年度における本校の学校教育を無事に終了することができました。授業日数は206日を数えました。この間、保護者、地域の皆様には、本校の各種教育活動を支えていただくとともに、学校づくりにも参画していただき、心から感謝を申し上げます。

さて、今回は、この1年間の学校づくりを振り返ってみたいと思います。

私は釧路市の学校において勤務したことがなく、中学校における校長職も初めてであり、着任当初はかなり緊張していたことを思い出します。私を迎え入れてくれた教職員の皆さんの不安も相当なものであったのではないかと想像します。

勤務初日に、学校経営理念(「生徒を育てる学校」から「生徒が育つ学校」へ)を伝えました。そして、今年度、学校として目指す目標(重点教育目標)について、教職員の皆さんと生徒たちと一緒に創りたい旨をお話ししました。教職員の皆さんは、校長の意図を理解してくれ、生徒たちが2040年代の社会を生き抜いていく上で必要な資質・能力のアイディアをたくさん出してくれました。生徒会書記局の生徒たちは、本校の学校教育目標を達成した生徒の姿を真剣に考えてくれました。その結果、「自分の足で立ち、自分の頭で考え、他者と対話し協働できる生徒」という重点教育目標が設定され、それを支える4つの力として、「人を思いやる力」、「自分の考えをもつ力」、「自分を表現する力」、「挑戦しやり抜く力」が位置付けられました。

生徒と教職員の皆さんが自ら創った目標の成果はすぐに表れました。学校行事のねらいを検討するとき、「今年度の重点教育目標と関連したねらいにしてみよう」、日常の授業において、「4つの力を生徒が獲得するために、どんな活動を位置付ければよいか」などの声が生徒や教職員の間で聞こえるようになりました。目指す目標を全員が共有し意識して各種の活動が始まる、本校が組織として機能してきました。また、校内研修では、「授業で勝負できる教師」をテーマに積極的な授業改善が進められました。職員室内で日常的に授業の話がされ、授業の手立て等が教師間で自然に情報交換できるようになりました。この流れが校内にできたことは、今年度の大きな成果として捉えています。次年度はこの流れを更に加速するような戦略が求められます。

PTA会長の石田貴志氏、学校運営協議会長の池田優氏には、学校経営に課題を抱えたとき、親身になってお話を聞いていただきました。いつのときも「生徒にとって、学校は何ができるのか」を考えること、「学校として何を目指しているのか」を確認することを御示唆いただきました。お二人のお話から、何より大事なことは、生徒たちが将来どうなりたいか、どうなってほしいかを、大人も生徒も含めて話し合うべきであり、それを主導する私たち大人には将来への重大な責任があることに気付かされました。

本校の生徒たち、教職員、保護者、地域の皆さんの姿を通して、学校づくりは未来の地域づくりであり、それを創造する人づくりであることを学ばせていただいたと考えています。1年間、本校の学校づくりに御尽力いただいた皆さんに感謝をして今年度の学校経営を閉じたいと思います。本当にありがとうございました。

 

3学期に臨むに当たって ~1学期と2学期に培ったものを組み合わせて~

3学期に臨むに当たって

~1学期と2学期に培ったものを組み合わせて~

                                                                  釧路市立北中学校長 冨 田 直 樹

 

元旦の16時過ぎに、石川県の能登地方で最大震度7を記録する地震が発生し、200人を超える人たちが命を落とされ、現在も厳しい寒さの中、不自由な避難所生活を送っている人たちが多くいます。とても悲しく辛い気持ちで2024年(令和6年)が始まりました。地震などの災害については、釧路市においてもいつ起こってもおかしくないことと受け止めています。改めて生徒たち一人一人が「自分の命は自分で守る」意識の醸成と実際に命を守る行動ができる力の獲得を目指す防災教育の重要性を実感するとともに、被災した人たちのために、「何ができるのか」を考え、行動できる力の獲得を目指す教育活動の充実が求められていると考えているところです。

そんな中、本日から3学期が始まりました。生徒たちが無事に登校し、いつも通り始業式が行えたことにまずは安心したところです。そして、冬季休業中、生徒たちを優しく温かく見守っていただいた保護者や地域の皆さんに改めて感謝を申し上げたいと思います。

始業式では、「3学期はこの1年間をまとめる時期である」という話を生徒たちに伝えました。そして、特に「まとめる」について、生徒たちと共有したところです。生徒たちは1学期と2学期の日常の授業において多様な学びを繰り返してきました。また、学校行事や部活動等を通して、貴重な体験を積み重ねてきました。これらの学びや体験を組み合わせて、新しい何かを創り上げていくこと、それこそが「まとめる」ことだと考えています。第3学年の生徒たちは、1学期や2学期を含めて、第1学年時と第2学年時に培った学びや体験を組み合わせて、進路の実現に挑んでほしいと思います。第2学年の生徒たちは、4月から「北中の顔」になります。本校のリーダーとして、新しい北中学校を創っていく何かを手に入れてほしいと思います。第1学年の生徒たちは、「先輩」になります。新入生に北中の誇りを背負った姿を見せられるための何かを手に入れてほしいと思います。

そして、1学期と2学期の学びと体験を組み合わせて、何か新しいものを創り上げていくこと、このことは私たち教職員にとっても同様のことと受け止めています。12月に行った学校評価や授業評価、各種調査等の結果かから、本校の課題が改めて明らかになりました。「解決は次年度へ先送りしよう」ではなく、これまでの教育実践の成果を組み合わせて、解決の方策を導き出し、最後まで積極果敢に取組を進めていきたいと考えています。

また、3学期は学校にとって新年度の準備を進めていく時期でもあります。今年度の各種教育活動の成果と課題をしっかり受け止め、目指す生徒の姿(重点教育目標)の実現状況を把握するとともに、次年度に向けた学校として目指すべきゴールや、その実現を図る戦略を構想していく必要があります。

50日間で以上のことに取り組むことは決して簡単ではありません。保護者や地域の皆さんのお力添えがあってこそ取り組むことができると考えております。3学期も、1学期、2学期同様、本校教育に対する御理解・御協力をよろしくお願いします。

 

2学期を終えるに当たって

2学期を終えるに当たって

 

                                           釧路市立北中学校長 冨 田 直 樹

 

釧路管内に初めて「熱中症警戒アラート」が発令されるなど、猛暑の中で始まった2学期が本日で終了しました。合唱祭や遠足、後期生徒総会、校内授業公開(指導主事訪問)、土曜活動、教育相談、3者面談など、たくさんの行事がありましたが、ほぼ予定どおりに行うことができました。そして、各種行事の度に、保護者や地域の皆さんから励ましの言葉をかけていただいたり、温かい拍手を送っていただいたりしたことは、生徒はもとより私たち教職員にとっても、大きな自信や幸福感となり、次の活動に向かう原動力となりました。心から感謝を申し上げます。ただ、11月から12月にかけて、第1学年と第2学年において、インフルエンザの蔓延による学年・学級閉鎖が相次ぎました。保護者や地域の皆さんには、多大なる御心配をおかけしてしまうことになり、改めてお詫びを申し上げます。

各種の行事を通して生徒たちは確実に成長していますが、私が最も生徒の成長を実感する場面は日常の授業です。1学期の授業参観において見えていた生徒の姿は、教師の指示に素直に従う、課題が提示されないと何もできない、個人で課題を抱えて困り感を積み重ねるなどの姿がたくさん見られました。しかし、2学期はその様子に少しずつ変化が見られ、12月に入ってからは多くの生徒たちが全く違う姿で授業に臨んでいます。学習課題を自分事として捉え、既習事項を駆使して課題解決に挑戦している、端末を積極的に活用し、自分の考えをまとめ表現しようとしている、学習課題に対する自分の考えを更に広げ深めるために、友達や教師との対話を繰り返すなど、そんな姿が全学年・全学級において見られるようになってきました。

4月に今年度の「目指す生徒の姿」として、前期生徒会書記局の生徒たちが「自分の足で立ち、自分の頭で考え、他者と対話し協働できる生徒」を示してくれました。そして、教職員がこの姿を実現するために獲得すべき資質・能力として、「人を大切にする力」、「自分の考えをもつ力」、「自分を表現する力」、「挑戦しやり抜く力」を設定してくれました。

学校生活の基盤は「日常の授業」です。そして、この「日常の授業」において、学校として目指すべきゴールを生徒と教職員が共有し、共に実現を目指していく。これが学校として本来あるべき姿です。本校の生徒たちは、まだまだ成長していくと確信しています。

明日から冬休みが始まります。生徒たちには、家族や親族の皆さん、友達と幸せな時間を過ごしてほしいと願っています。そして、第3学年の生徒にとっては、進路の実現に向けた「正念場」でもあります。インフルエンザ等の終息が見えず、健康管理には細心の注意を払うことになりますが、生徒たちの生活を見守っていただくようお願いします。3学期の始業式では、新年の希望に満ちあふれた生徒たちと再会できることを楽しみにしております。

4月からの9か月間、保護者、地域の皆さんには、大変お世話になりました。本当にありがとうございました。皆さん、どうぞよいお年をお迎えください。

 

2学期の学校づくりに向けて

2学期の学校づくりに向けて

 

                                                                              釧路市立北中学校長 冨 田 直 樹

 

27日間の夏季休業が終わりました。新型コロナウイルス感染症の感染法上の分類が5類に移行したこともあり、久しぶりに「いつもの夏」を満喫できる、そんな期待感が日本全国に広がっていました。しかし、大雨により甚大な被害を受け途方に暮れたり、猛暑により熱中症の危険に晒されたりするなど、多くの人々が、不安感や危機感に駆られながら日々の生活を送っていたのだと思います。

そのような今年の夏でしたが、本校の生徒たちは、自主的に夏休み学習会に参加して課題の克服に努めたり、中体連全道大会や地区コンクールにおいて優秀な成績を収めるとともに、新チームとして掲げた目標の実現に向け熱心に練習に取り組んだり、地域の行事等に積極的に参加し地域貢献を果たしたりするなど、常に「自律心」をもって毎日を過ごしていました。そして、本日、全ての生徒が無事に夏季休業期間を終え、2学期の始業式を迎えることができました。北中生としての自覚と誇りをもって夏季休業を過ごした生徒、そして、生徒たちを温かく見守り支えていただいた保護者、地域の皆様のおかげであると実感しています。改めて、皆様に心から感謝を申し上げます。

さて、7月31日に文部科学省から今年度の全国学力・学習状況調査の結果が公表されました。本校の結果の詳細については、後日、報告させていただきますが、学力については全教科において全国平均を下回っており、引き続き、「生徒を主語とした授業」の実現を図る授業改善を進める必要性を痛感したところです。また、学習状況等についても、いくつか課題が見られました。特に、生徒質問紙調査において、「自分には、よいところがあると思う」という質問事項に、肯定的に回答している生徒の割合は、全国平均より10.2ポイント低い状況でした。

この質問事項は、生徒たちが未来社会の創り手となるために必要である資質・能力の一つであろう「自己肯定感」が自分に育まれているかを問う内容です。生徒たちが生きていく未来社会は「society 5.0」と呼ばれる超スマート社会であり、生活を豊かにしてくれる一方で、予測困難な時代でもあります。学校で身に付けた知識だけで一生暮らしていけることは不可能で、常に変化していく時代に遅れないように、学校を卒業してからも自らの知識や技能を頻繁にアップデートし続ける必要がると言われています。改めて生徒たちが生きていく未来社会を想定し、生徒たち自身が「自己肯定感」を育み、教職員が生徒たちを伴走していく、そんな学校体制を構築していく必要があると考えます。

また、アメリカの教育学者であるドローシー・ロー・ノルト(Dorothy Law Nolte)博士は「子は親の鏡」であるという言葉を残しています。これは、「子どもは親から多大な影響を受ける」という意味で用いられます。「親」という言葉は、保護者だけでなく、私たち教職員や地域の人たちなど、生徒たちを取り囲む「大人」と捉えてもよいと思います。このことを踏まえると、私たち大人はどうでしょうか。目の前の課題に正対し、その解決に向けて努力している、自分に足りない知識を補うために、本を読んだり、研修会に参加したりして学んでいる、何事にも当事者意識をもって、責任ある行動をしている、前年度踏襲ではなく、新しい価値を創造しようとしている、身の回りの他者を尊重し、協働しているなど、そんな姿を生徒たちに示しているでしょうか。

今年度の重点教育目標(目指す生徒の姿)の実現に向け、「子は親の鏡」、この言葉を深く心に刻んで、2学期の学校経営に全教職員が心を合わせて臨んでいきたいと考えております。2学期も学校経営に対する保護者、地域の皆様の御理解・御協力をよろしくお願いします。

 

1学期を終えて

1学期を終えて

 

                                            釧路市立北中学校長 冨 田 直 樹

4月6日の始業式から数えて74日間、本日、1学期の終業式を迎えることができました。5月に新型コロナウイルス感染症の感染法上の分類が5類に移行したものの、まだまだ予断を許さない状況の中でしたが、日常の授業や各種学校行事などを予定通り実施し、生徒たちの確かな成長を見取ることができました。そして、何よりも全ての生徒が大きな病気や怪我をすることなく、学校生活を送れましたことは、1学期における本校の教育の大きな成果であると実感しているところです。なお、このような成果を得られましたことは、常日頃より本校の教育にお力添えいただいている保護者や地域の皆様のおかげであると確信しております。改めて保護者、地域の皆様に心から感謝を申し上げます。

さて、4月当初に学校経営の理念(「生徒を育てる学校」から「生徒が育つ学校」へ)を示し、生徒たちを主語とする学校づくりに取り組んでまいりました。しかし、日常の授業や学校行事における生徒たちの姿を見てみると、課題を自分事として捉え、友達や教師との対話を通して解決するなど、「自ら学び取ろう」とする姿が増えつつありますが、課題を与えられなければ学びの一歩を踏み出すことができないなど、「教えてもらう」ことから抜け出せずにいる姿がまだまだ多く見られます。

現行学習指導要領では、新しい時代に必要となる資質・能力として3つの柱(①知識及び技能、②思考力・判断力・表現力等、③学びに向かう力・人間性)を示しています。3つ目の「学びに向かう力・人間性」には、非認知スキルなど様々なものが含まれていますが、中でも「学び続ける力」が重要視されています。

現行学習指導要領の改訂に携わった白梅学園大学名誉教授の無藤隆氏は、「必要になる教育の在り方は、『学び続ける力を身に付けること』だといえよう。社会の変化に応じて、何をどのように学んでいくのかを自ら主体的に考え、自ら未来を創っていく力こそ、2030年の社会で求められる力なのである。大事なところは、学校教育で学べば、それを使って一生やっていけるというモデルを捨てようとしているということにある。これは学校教育のその先も学びがずっとあるということなのである」と述べています。

この言葉は、生徒たちだけではなく、生徒たちの教育に携わる全ての者(教職員、保護者、地域住民等)たちに向けたメッセージであると思います。これまでの蓄積や経験値が通用する場面もありますが、時として、社会の変化や相手の状態によっては、それらをアンインストールしたり、大幅にアップデートを図ったりしなければなりません。これまでのやり方や考え方のままではうまくいかない、そんなときに、どのような行動を取れるかが、その人の正念場であると思います。生徒たちの前に、私たち大人がアンインストールやアップデートの達人になっていく必要があるのかもしれません。

明日から27日間の夏季休業に入ります。生徒たちには、夏休みにおいて「自分を律すること」の大切さについての話(詳細は本校HPの「できごと」のページを御覧ください)をしました。27日間が生徒たちにとって充実した時間となるようお力添えをよろしくお願いいたします。

最後に、1学期の学校経営に御理解・御協力いただいたことに改めて感謝を申し上げます。

 

学校長挨拶 ~当事者意識をもって~

当事者意識をもって

釧路市立北中学校 冨 田 直 樹

 はじめまして。4月3日付けで浜中町立茶内小学校から本校に着任しました冨田直樹(とみた・なおき)と申します。中学校での校長職は初めてであり、また、釧路管内での教員経験もないので、たくさんの不安を抱えながら着任しましたが、教職員の皆さんに温かく迎え入れていただき、本校での校長職を順調にスタートすることができました。

さて、中学校においては、一昨年度、生徒たちの学びの基準となる学習指導要領が全面実施となりました。また、それを補完する形で、中央審議会答申「令和の日本型学校教育の構築を目指して」が示されるなど、今はまさに教育改革の真っただ中にあります。そして、長期間にわたり学校の教育活動に制限をかけ続けていた新型コロナウイルス感染症も5月から感染法上の分類が5類に引き下げられ、ポストコロナに向けた学校づくりが本格化するなど、学校は新しい時代に向けて、目指すべき学校の姿を再構築することが求められています。

また、私たちの目の前にいる生徒たちが将来、生きていく社会は「超スマート社会(Society5.0)」と呼ばれ、おそらく誰も経験したことのない課題が待ち受けるものになると思われます。何が正解なのか判断に迷うことが当たり前になるかもしれません。正解がどれだか分からない問題に取り組み続けることを求められる生徒たちが「未来社会の創り手」となるために必要な資質・能力を身に付けることは簡単なことではないと考えます。

では、これらの課題を解決するために学校は何をしなければならないでしょうか。学校は「生徒を育てる場」から「生徒が育つ場」へと転換する必要があると考えます。これはある意味、学校の常識を180度転換することであり、大変な仕事です。また、社会にとっても重要な仕事であると考えます。それを担うのが校長であると認識し、学校経営に当たりたいと覚悟しています。

これまでにない大きな教育の改革期、学校の創成期を迎えている今、学校経営の最高責任者である校長にとって、前例踏襲のような考え方や姿勢は通用しないと考えています。生徒たち自身が未来社会の創り手になるために必要な資質・能力を自ら育むためには何をすべきかを、常に当事者意識をもって考え学校経営を進めてまいります。保護者、地域の皆様のお力添えをよろしくお願いいたします。