1学期を終えて
釧路市立北中学校長 冨 田 直 樹
4月6日の始業式から数えて74日間、本日、1学期の終業式を迎えることができました。5月に新型コロナウイルス感染症の感染法上の分類が5類に移行したものの、まだまだ予断を許さない状況の中でしたが、日常の授業や各種学校行事などを予定通り実施し、生徒たちの確かな成長を見取ることができました。そして、何よりも全ての生徒が大きな病気や怪我をすることなく、学校生活を送れましたことは、1学期における本校の教育の大きな成果であると実感しているところです。なお、このような成果を得られましたことは、常日頃より本校の教育にお力添えいただいている保護者や地域の皆様のおかげであると確信しております。改めて保護者、地域の皆様に心から感謝を申し上げます。
さて、4月当初に学校経営の理念(「生徒を育てる学校」から「生徒が育つ学校」へ)を示し、生徒たちを主語とする学校づくりに取り組んでまいりました。しかし、日常の授業や学校行事における生徒たちの姿を見てみると、課題を自分事として捉え、友達や教師との対話を通して解決するなど、「自ら学び取ろう」とする姿が増えつつありますが、課題を与えられなければ学びの一歩を踏み出すことができないなど、「教えてもらう」ことから抜け出せずにいる姿がまだまだ多く見られます。
現行学習指導要領では、新しい時代に必要となる資質・能力として3つの柱(①知識及び技能、②思考力・判断力・表現力等、③学びに向かう力・人間性)を示しています。3つ目の「学びに向かう力・人間性」には、非認知スキルなど様々なものが含まれていますが、中でも「学び続ける力」が重要視されています。
現行学習指導要領の改訂に携わった白梅学園大学名誉教授の無藤隆氏は、「必要になる教育の在り方は、『学び続ける力を身に付けること』だといえよう。社会の変化に応じて、何をどのように学んでいくのかを自ら主体的に考え、自ら未来を創っていく力こそ、2030年の社会で求められる力なのである。大事なところは、学校教育で学べば、それを使って一生やっていけるというモデルを捨てようとしているということにある。これは学校教育のその先も学びがずっとあるということなのである」と述べています。
この言葉は、生徒たちだけではなく、生徒たちの教育に携わる全ての者(教職員、保護者、地域住民等)たちに向けたメッセージであると思います。これまでの蓄積や経験値が通用する場面もありますが、時として、社会の変化や相手の状態によっては、それらをアンインストールしたり、大幅にアップデートを図ったりしなければなりません。これまでのやり方や考え方のままではうまくいかない、そんなときに、どのような行動を取れるかが、その人の正念場であると思います。生徒たちの前に、私たち大人がアンインストールやアップデートの達人になっていく必要があるのかもしれません。
明日から27日間の夏季休業に入ります。生徒たちには、夏休みにおいて「自分を律すること」の大切さについての話(詳細は本校HPの「できごと」のページを御覧ください)をしました。27日間が生徒たちにとって充実した時間となるようお力添えをよろしくお願いいたします。
最後に、1学期の学校経営に御理解・御協力いただいたことに改めて感謝を申し上げます。